オペラ「白痴」

時間

第一幕 100分
第二幕 90分
合計 3時間10分

基礎データ

作曲 ミエチスラフ・ワインベルク(1919年~1996年)が、66歳の1985年に完成。
ワルシャワのユダヤ人家庭に生まれたが、1939年にソヴィエト連邦に亡命した。
原作 フョードル・ドストエフスキー(1821年~1881年)が、47歳の1868年に完成。
台本 音楽学者アレクサンドル・メドヴェージェフと作曲家の共同。
場所 サンクト・ペテルベルク。
初演 1991年12月19日、モスクワ室内歌劇場で部分初演。
2013年3月9日、マンハイム歌劇場でトーマス・ザンデルリンクの指揮で全曲初演。

主な登場人物

【ムイシュキン公爵の関係】
レフ・ニコラエヴィチ・ムイシュキン(ムイシュキン公爵) 26歳の主人公。ムイシュキン家の末裔でニコライ・リヴォーヴィチ・ムイシュキンの息子。ブロンドで真っ白な顎ひげをはやしている。てんかん療養のため4年あまりをスイスで過ごし、同家のエリザヴェータ夫人を頼ってペテルブルグへ戻ってくる。
ニコライ・アンドレエヴィチ・パヴリーシチェフ(パヴリーシチェフ) 地主貴族。ムイシュキン公爵に仕送りをしていた養育者。2年前に亡くなった。
アンチープ・ブルドフスキー
(ブルドフスキー)
パヴリーシチェフの隠し子だと名乗り出てくる。
シュナイダー先生 スイス時代、ムイシュキン公爵の主治医。
マリイ スイス時代、肺病を患ったひ弱でやせた体つきの薄幸な娘。

 

【ロゴージンの関係】
パルフョーン・セミョーノヴィチ・ロゴージン(ロゴージン) 27歳の縮れた黒髪に浅黒い顔をした体格のいい男。金に物を言わせてナスターシャを自分のものにしようとする。
ケーレル 退役中尉。

 

【ナスターシャの関係】
ナスターシヤ・フィリッポヴナ・バラシコーワ(ナスターシャ) 悲劇のヒロイン。美貌の女。借金まみれだった退役士官の父が領土焼失し、孤児になったところをトーツキイに扶養されそのうち愛人となる。威圧的な面と自虐的な面を持つ。
アファナーシィ・イワーノヴィチ・トーツキイ(トーツキイ) 55歳の地主貴族。エパンチン将軍と金融事業を共同でしている。たいへんな器量好み。ナスターシャを凌辱し、その変貌ぶりに困惑している。
ダーリヤ・アレクセーエヴナ 夜会に出席していた女優あがりの威勢のいい婦人。ナスターシャの取り巻き。ケーレル退役中尉。ロゴージンの取り巻き。レーベジェフ赤鼻で顔じゅう吹出物だらけの噂好きな小役人。ペテルブルグ行きの列車でムイシュキン公爵とロゴージンに出会う。

 

【エパンチン家の関係】
イワン・フョードロヴィチ・エパンチン(エパンチン将軍) 56歳の実業家。頭のきれる如才のない人物。健康的でずんぐりした頑丈な体格。トーツキーとは親密な間柄で、娘のアレクサンドラを嫁がせて莫大な持参金を得ようとしている。
エリザヴェータ・プロコフィエヴナ(エリザヴェータ夫人) エパンチン三姉妹の母。ムイシュキン公爵家の令嬢だった。
アレクサンドラ・エパンチン 25歳の三姉妹の長女。ピアノや読書、刺繍が趣味。
アデライーデ・エパンチナ 23歳で、三姉妹の次女。絵画が趣味。シチャー公爵と結婚する。
アグラーヤ・イワーノヴナ・エパンチナ 20歳のエパンチン家姉妹の三女。三姉妹の中でも争う余地のない美貌の持ち主。一家の中で最も大切にされ、将来を約束されていたが、ポーランド人愛国者と結婚し、みんなの期待を裏切った。
щ(シチャー)公爵 35歳のアデライーデの婚約者。
エヴゲーニィ・パーヴロヴィチ・ラドムスキー(ラドムスキー公爵) シチャー公爵の親戚。アグラーヤに言い寄る。

 

【イヴォルギン家の関係】
アルダリオン・イヴォルギン
(イヴォルギン将軍)
55歳のガーニャの父。アルコール中毒で虚言癖。退役軍人である。
ニーナ・アレクサンドロヴナ・イヴォルギナ(ニーナ夫人) 50歳のガーニャの母。下宿屋を営んでいる。
ガヴリーラ・アルダリオノヴィチ・イヴォルギン(ガブリーラ) 27歳のイヴォルギン将軍の長男。エパンチン家の秘書。腹黒く欲張りで、癇癪持ちの羨望家。7万5000ルーブルを手にするためナスターシャと政略結婚をしようとしている。
ニコライ・アルダリオノヴィチ
(コーリャ)
13歳のガーニャの弟。中学生。父親の面倒見を強いられている。イポリートと親しい。
ワルワーラ・アルダリオノヴナ
(ワーリャ)
23歳のガーニャの妹でプチーツィンの妻。母親似の中背でやせぎすの娘。恐ろしいほど気が強い。
マルファ・ボリーソヴナ・イヴォルギン イヴォルギン将軍の情婦。夫はいない。イポリートの他に8歳のレーノチカを含めた二人の女の子と一人の男の子を抱えている。
イッポリート・テレンチェフ
(イッポリート)
マルファの息子。肺病に冒され死期が近い。自殺を図る。
イワン・ペトローヴィチ・プチーツィン(プチーツィン) 30歳くらいでしゃれた装りをした高利貸し。ワルワーラと結婚する。イヴォルギン夫人が営んでいる下宿屋の下宿人。赤毛で身装りが薄汚い。道化。
フェルディシチェンコ イヴォルギン夫人が営んでいる下宿屋の下宿人。赤毛で身装りが薄汚い。道化。

 

【レーベジェフの関係】
レーベジェフ 26歳の赤鼻で顔じゅう吹出物だらけの噂好きな小役人。ペテルブルグ行きの列車でムイシュキン公爵とロゴージンに出会う。
ヴェーラ 13歳のレーベジェフの娘。
ウラジーミル・ドクトレンコ
(ドクトレンコ)
権利主張を振りかざす現代的なロシア青年。レーベジェフの甥。

 

A4版を読む前に

ドストエフキーの原作のうち、公爵とアグラーヤが関わる部分、及びナスターシャと関わる部分についてオペラ化している。

第1幕は、第1部の抜粋、第2幕は、第2部から第4部までである。

てんかん持ちで美人好きのムイシュキン公爵が、スイスでの療養を終えてサンクトペテルブルクに行って、生活するがナスターシャという女性に振り回されて、半年後に知的気管が損傷し再度、発病してスイスに戻るまでの間の話である。

公爵は、病気持ちのせいで生まれつき女性を知らないということから、ドストエフスキーは、神様のような人間として扱っている。

そのことについて、ナスターシャはロゴージンを通じて、アグラーヤは、母親を通じて知っていた。二人の女性は、共に精神的な愛によって、その壁をどうにか越えられる、と考えていたようだ。

ナスターシャは、公爵との1ヶ月の同棲生活の中で無理なことを知っていたので、もともと、最後に結婚しようとするが、ナスターシャは自分の首を絞めるので結婚したくなかったはずである。

他方、アグラーヤは、純粋に精神的な愛で乗り越えられると考えていたと考えられる。肉体をも求めるナスターシャと、精神的であれば良いと考えるアグラーヤの違いを、描いている。

しかし、それ以前に2幕9場での二人の口論の時に、公爵が、口喧嘩の最中の二人のうちアグリーラだけ非難したこと、また、ナスターシャに引き留められてアグラーヤをすぐに追いかけなかったこと、この二点から、優しさ、配慮という側面が重要である、とドストエフスキーは考えた、と思われる。

 

下記をクリックして、オペラ鑑賞の参考にして下さい。

「ドストエフスキーの白痴」 こちらからダウンロードできます。idiot2.pdf

A4版(PDF)

このPDFを出力して劇場に持参し、各幕前に読んで頭に入れておきますと数倍楽しくオペラをご覧いただけます。(上演中は周りの方々にご迷惑とならないようにお願いします。)

詳細の資料はこちらからダウンロードできます。 idiot1.pdf

「引用」
・ 対訳:望月哲男「白痴」河出書房新社





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