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歌劇「セヴィリアの理髪師」

時間
第一幕 92分
第二幕 50分
基礎データ
作曲・完成
ペーザロ生まれのジョアキーノ・ロッシーニ(1792年~1868年)が、24歳の1816年に完成。
原作
カロン・ド・ボ-マルシェ(1732年~1799年)の風刺的な喜劇である下記「フィガロ3部作」の第1作目
  ①セヴィリアの理髪師・・・  1775年で43歳の時の作品(1782年にパイジェルロもオペラ化)
  ②フィガロの結婚・・・・・・・  1784年で52歳の時の作品(モーツァルトが1786年にオペラ化)
  ③罪ある母・・・・・・・・・・・・  1792年で60歳の時の作品(ロジーナがケルビーノとの子を作った話)
台本
チェーザレ・ステルビーニが書き直しました。
初演
1816年2月20日、ローマのアルジェンティーナ劇場。
主な登場人物
フィガロ(バリトン)
理髪師であるが何でも屋。しかし、フィガロ自ら悩み苦しみ愛し喜ぶという役回りではありません。
アルマヴィーヴァ伯爵(テノール)
ロジーナにプロポーズするためにわざわざセヴィリアに滞在している。自分自身への純粋な愛を求めるために、ロジーナに対して身分を隠して学生リンドーロと名乗ります。また、監視の厳しいバルトロ家に入ってロジーナと会話するために、第1幕では酔っぱらいの士官に扮し、第2幕ではドン・バジリオの弟子ドン・アロンソに扮したりしてドン・バルトロを欺きます。
ロジーナ(メゾ・ソプラノ)
バルトロの家に住む財産ある被後見人。バルトロの監視が厳しく、救済者を求めている。
ドン・バルトロ(バリトン)
医師でロジーナの後見人。ロジーナの財産欲しさにロジーナとの結婚を企んでいる。
ドン・バジリオ(バス)
ロジーナの音楽教師。伯爵からお金を握らされると弱い人物。
ベルタ(アルト)
バルトロ家に長く仕えている女中。
A4版を読む前に

18世紀スペインのセヴィリアが舞台となる喜劇で、ロッシーニの代表作です。

 アルマヴィーヴァ伯爵はロジーナに一目惚れしたのですが接点を見つけられません。そこで何でも屋のフィガロに縁を取り持つよう依頼します。
ロジーナは後見人のドン・バルトロの家に住んでいるのですが、そのドン・バルトロもロジーナとの結婚を望んでいます。
ドン・バルトロによる嫉妬により軟禁状態に置かれているロジーナと、アルマヴィーヴァ伯爵を会わせて結婚させるために、フィガロがお得意の知恵を働かせて依頼に応えていく、というオペラです。

 ロジーナと伯爵による三通の手紙と、伯爵による2回の偽名による変装と、ドン・バルトロの執拗な抵抗が、このオペラのストーリーを二転三転させます。

 ドン・バルトロの嫉妬により会話さえできないロジーナと伯爵は、第1幕では下記の手段による伝達が使われています。

①伯爵→ロジーナ
(歌により伝達)
毎朝、セレナードを歌い愛を告白し求婚する。
②ロジーナ→伯爵
(手紙により伝達)
自己紹介を求めることとバルトロから逃れたいことを伝えるために書いた手紙(バルコニーから投げ伯爵が拾う)
③伯爵→ロジーナ
(歌により伝達)
身分に出なく自分自身への愛を求めるため学生リンドーロと偽り自己紹介する。
④ロジーナ→伯爵
(手紙により伝達)
リンドーロ(伯爵)に対して愛で応える内容の手紙(フィガロ経由で渡される)
⑤伯爵→ロジーナ
(手紙により伝達)
④に対する返事として伯爵が書いた手紙(伯爵が変装して侵入し初めてロジーナと会話した時にどさくさに紛れて渡したもので、内容は明らかでないが、愛が成立したことに対する感謝の意を込めた内容?)


第2幕では、
①伯爵が偽名によりバルトロ家に侵入する場面。
②ロジーナが書いた最初の手紙を伯爵がバルトロに渡し、バルトロがロジーナに見せるの
で、ロジーナは伯爵から裏切られたと勘違いする場面。
があり、結論はハッピーエンドですが、ストーリーを複雑にします。

A4版(PDF)

このPDFを出力して劇場に持参し、各幕前に読んで頭に入れておきますと数倍楽しくオペラをご覧いただけます。(上演中は周りの方々にご迷惑とならないようにお願いします。)

詳細の資料はこちらからダウンロードできます。 siviglia.pdf

「引用」
・ 翻訳:河原廣之「オペラ対訳本」(おぺら読本出版)
・ 解説:寺西春雄「最新名曲解説全集第18巻」(㈱音楽之友社)